2008年03月06日

カンガルーケアの問題点

生後30分以内のカンガルーケアの問題点

出生直後の裸の赤ちゃんにとって快適な環境温度(中性温度)は32~34℃です。ところが、空調設備の整った日本の分娩室は大人に快適な環境温度(24~26℃)に設定されています。冷房設備がない高温多湿な国でカンガルーケアをしても児は低体温になる心配はありません。しかし、日本の分娩室(24~26℃)で生後30分以内にカンガルーケアをすると体温下降が進み正常体温(恒温状態)への回復が遅れ適応過程に支障を招きます。

出生直後の低温環境・低体温が児に不利益な点:
1.分娩を境に急激な環境温度の低下に遭遇すると、早期新生児は『低体温⇔低血糖』の悪循環を形成します。早期新生児の低血糖は脳の発育に不利益です。
2.低温環境下では放熱抑制を目的とした体温調節機構が働き、全身の末梢血管は収縮します。その結果、消化管の血流量が減少し初期嘔吐・胎便排出遅延の原因になります。初期嘔吐は哺乳障害、胎便排出遅延は重症黄疸の原因となり児にとって不利益です。
3.生命維持装置を司る自律神経は恒温状態でその機能を正常に作動しますが、低温・高温環境下ではまともに働きません。自律神経機能は生命維持装置(呼吸・循環・ホルモン調節など)の安全性よりも体温を恒常に保つための体温調節の方を優先的に調整します。

恒温動物・哺乳動物である赤ちゃんにとって大事なことは、出生直後の低体温をどの様にして防ぎ児を恒温状態にいかに早く安定させるか、初期嘔吐(哺乳障害)をどの様にして防ぎ、母乳が出ない生後数日間をどのようにして栄養を補うかが新生児管理で最も重要な点です。
posted by タマちゃん at 19:13| Comment(1) | TrackBack(0) | 産科医の意見書
この記事へのコメント
海外在住の30代女性です。日本のニュース記事でカンガルーケアの事故の記事を読みました。今の今までカンガルーケアについて知らなかったので調べていたらこのサイトに出会いました。私はまだお母さんになる予定はないのですが、院長先生のサイトは、すごいと思いました。世の中は、メディアや国にの意見によって支配されやすいので、気をつけなくてはならないと感じました。事故が大きく取り上げられる前に先生はもう全てお分かりだったんだと感じました。これからも、元気な赤ちゃんをとりあげていっていただきたいです。
Posted by gatta at 2010年04月04日 14:22
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